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「……なんか。チョコ食べたら落ち着いたわ。ねえ、その原紙ちょうだい。この作業終わったら共有スペースのコピー機でコピーしてくるから」
「いえいえ僕がやってきますよ。黒木さんのお手は煩わせません」
「いやでも。コピー機一台しかないから、誰かが使ってたら順番待ちするしかないよ?」
「なおさら先輩にやらせられませんよ」
そう言ってまたスキップするように黒田くんが出て行ったので、そんな気遣いできるんだなと感心しつつお言葉に甘えることにした。しばらくかかるだろうと思っていたけど、意外にも10分経たないで足音が戻ってくる。
「あれ?早かったね」
「先客がいなかったもので」
必要枚数をコピーし終えた黒田くんが大事そうに資料を抱えて戻って来たけど。なぜだか銅像のように動かず、出入口前で立ち止まったままだ。
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