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玄関の扉を開けると俺は笑顔で大声を出した。
「ただいま!」
いつも優しい妻が出迎えてくれた。
「おかえりなさい!」
靴を脱いで、ネクタイを緩めながら妻に話した。
「今日も仕事が大変だったよ」
「それはお疲れ様でした」
リビングに向かおうとしている時に背後から扉が開く音がした。
「ただいま!」
声を聞いて、施錠を忘れていたことに気づいた。見たこともないあどけなさが残る男が笑顔を浮かべていた。
「すみません。家を間違えていませんか?」
「あなたの奥さんの高林佳恵さんの家ですよね?」
なぜ、こいつが俺の妻の名前を知ってるんだ。
「えっと、妻とはどういう関係で?」
「浮気相手です」
男はきっぱりと言い切った。俺はその言葉を聞いて、腑が煮え繰り返るような怒りを覚えた。
俺は佳恵に怒鳴った。
「おい、どういうことなんだ。おまえは浮気していたのか? なんで浮気相手が自信満々で俺の家に来てただいまと言ってるんだ?」
妻が俺の怒声を全く気にしないで悪魔のような笑みを浮かべて話した。
「あなたに黙っていて、ごめんなさい。ずっと浮気していたのよ。あなたに黙っていたけど、私、すっごくモテるのよ。いつもはあなたが仕事で家を留守にしている時にこの家で会っていたの。今日はこれから浮気相手の人達がこの家に集まるわ。みんなで一緒に暮らしましょう」
妻の言葉に唖然とした。浮気相手の人達ってどういうことだ。まだいるのか。一緒に暮らすって本気なのか?
「もう離婚だ! おまえみたいな奴とは離婚する」
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