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駐車場は満車表示が出ているのに、わたし達の車はすんなりとエントランスを抜け、入り口に近い場所に案内された。
わたし、夢でも見ているんじゃないだろうか。
そこで健司は自分の車の鍵をキャストさんに渡していた。事前にそういう打ち合わせがあったのかもしれないけど……。鍵なんて渡して大丈夫なんだろうか、と心配にもなる。
「一颯、行こうぜ! レストランの予約は七時なんだよ。無理やり入れてもらったからちょっと遅くなっちゃったよな」
「ほんとにあるんだね、クラブ33」
「あるよ。俺も行ったことないけど」
「どういうこと? 健司、会員になったの?」
高額! そんなお金、わたし達にはないでしょ?
「眉間に皺がよってんぞ! 会員にはなってない。紹介ってやつだな。今日から二日間、俺たちはセレブだ。ま、セレブごっこだな」
「えー! なんかすごいわくわくするな。二人でシンデレラの魔法?」
「そうそう。いや違うな。十年後にはこうなるぞ! って未来体験をこれからするの。でもまずは七時までパーク内を楽しもうぜ!」
「うんうん! やったー」
すごく久しぶりのデートらしいデートの上に、なんだか秘密めいたそのプランにわたしは完全にテンションが上がってしまい、大きくバンザイをし、そのまま健司の腕を抱きしめた。
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