First Last Love 番外編 つかの間セレブハネムーン

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ロスに来てから四ヶ月が経った。 世界的ゲームプロデューサーのアンドリューと契約を結べたおかげもあり、仕事は思いのほか順調だが、忙しいことこの上ない。 アンドリューを囲い込むために色々画策し、このアプリができれば子供たちはゲームをしながら無理なく学習につながる、と説くのが一番だとの結論に達して実際それがうまくいった。 アンドリューは俺たちより五つ年上の三十二歳で、離婚後に母方に引き取られた一人娘の行く末を気にしている。かわいくて仕方がないのだ。 俺と一颯(いぶき)は、こっちにきてからロスの郊外、日本人も多いトーランスの内陸に芝を貼った庭付きの一軒家を借りて、愛猫(あいびょう)ミケとチャピ、そして一颯の妹の二葉(ふたは)ちゃんと住んでいる。 庭付きにこだわったのは、ミケとチャピの遊び場確保のためだ。  二葉ちゃんは、療養プログラムのため、ここの家と病院を行ったり来たりの状態だ。  ちなみに今は四週間の療養プログラム期間中で、病院に入っている。  俺は、今からさかのぼること二週間前の一週間、ロスからサンフランシスコに出張だった。 Canalsとつき合いのある企業や大学、高校はロスが一番多いのだか、サンフランシスコにもかなりあり、引き継ぎのためだ。 ロス支社ができたことによって、海外事業部のアメリカ部門を一手にこっちで引き受けることになった。 これで海外事業部のかなりの割合を占めていたアメリカがはずれ、Canals本社は思う存分他国に事業拡大ができるというわけだ。  そんな中、愛しいわが妻、一颯(いぶき)は実家売却のためにこの一週間、休暇をとって日本に帰ってしまった。 俺も一緒に帰りたかったのに、まだ立ち上げたばかりのロサンゼルス支社での仕事がとにかく立て込んでいて、どうにもならない状態にあったのだ。  
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