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Dランドでしょ? なんでジャケットが必要なほどの格好をしなくちゃならないの?
「一颯、ワンピースとか持ってきた? 一番いい服、どれ?」
健司はクローゼットまで歩いていき、扉を開いた。意味がわからないんだけど。
「あー、俺、このワンピ好きだな。クラシックだけど適度に流行も取り入れてて、一颯に似合ってる。これにしようぜ。足もとはぺたんこのサンダルみたいのがいいな。歩き回るじゃん」
健司の手には、シルク素材の紺色のマキシ丈ワンピースがかけてあるハンガーが握られている。
ストンとしたシルエットで紺一色、幅がかなりある繊細なレースが襟にVの字に、同じものが肘までのパフスリーブの袖口にあしらわれている。
一応、それなりにきちんとした格好をした方がいいかもしれないと、テイスト別に何種類か持ってきた。今回、さすがにこれは場違いかと、出番がなかったものだ。
踵が三センチくらいのサンダルは今、履いている。
促され、わたしはバスルームでそのワンピースに着替えた。
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