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健司が実家から調達してきた車でDランドを目指す。
途中にあったビジネス用の紳士服の店で、健司はとりあえずのジャケットを購入。
選んでいる時間ももったいないと考えているらしく、二、三、その場で着用して、今着ているグレーのTシャツにベージュのスラックス、という格好に一番合いそうな無難な紺のジャケットを選び、レジでタグを切ってもらっていた。
「どういうことなの健司―。なんでいきなり行ってDランドに入れるのよ? そしてこの格好はなに?」
「今から二日間、俺たちは超VIPだから?」
「はいー?」
こんな時間に行ったんじゃ駐車場にすら入れないんじゃないかと思うよ。
でもなんと!
Dランドの駐車場のゲートエントランスにいた係員に、健司は自分の名前と、そして夕食は「クラブ33で取る予定だ」と告げたのだ。
クラブ33!
園内マップにも載っていない超高級の会員制レストランだ。
どこにあるか場所がわからない以前に、本当にあるのかさえも疑わしいと思っていた。
噂では、超VIPでも何年も空きを待たなければ入れない上、会費はとてつもなく高額だと聞いたことがある。
〝とてつもなく高額〟が二十万円なのか二百万円なのか、はたまた二千万円なのか、庶民すぎるわたしには、それさえも見当がつかない。
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