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「あー……会いてえ」
小学生時代、夏休みが長すぎて一颯に会えないもどかしさに、どこか近所の公園ででも偶然出くわさないもんだろうか、とか考えていたの頃の自分を思い出す。あー俺はまだ小学生が抜けていないのか。
ベッドでくっつく時、一颯は甘えてデレてひよひよと頼りなく柔らかい。その華奢な体を抱きしめることなく、こんなに長い時間を過ごしたのは初めてで、たった二週間会わないだけでこの体たらくな自分に情けなさがこみあげる。
ベッドにひっくり返って仕事のスケジュールぎっしりの、スマホのスケジュール帳を眺めていた。
「え!」
あることに気づいてしまった。今日は月初の一日だ。
一颯はわりと生理が乱れにくくピタッとくるタイプで、おそらく今日か、明日くらいから始まる予定だ。一日付近だから覚えやすいと数ヶ月前に気づいた。
そして彼女は生理がおそろしく重いのだ。
必ず鎮痛剤を飲まないとやり過ごせないし、たいていその期間はリモートにしていて、時には、スマホでできる仕事を選んでベッドの中から、痛みでこめかみに汗を浮かせながらこなしていたりする。
病院に行く事をすすめたら、すでに一時期は通っていたそうだ。でも生理痛緩和のために出される低容量ピルが身体に合わず、結局今はそれも断念している。
大丈夫かな? ちゃんと鎮痛剤を持って行ったかな?
電車で移動なんて相当辛いだろうに、かわいそうにそんなことも言っていられないだろう。
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