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今やっている学習ゲーム開発で、アンドリュー率いるダンジョンデザインのチームが、溶岩洞窟での火属性モンスターのギミックに苦慮している。
その間、コードを書くわたしは時間ができ、少し長めに休暇がとれた。
健司に会いたくて、引き渡しが済んだらその足で空港に向かう勢いだったけど、彼がこっちにきたのなら、話は別だ。
「ちょっとでも……」
お出かけできないかなー。近場で食事くらい、どうかな。
だって、ロス支社の立ち上げで身動きがとれないくらい忙しい時期に結婚したから、結婚式はおろか新婚旅行もなし……どころかまともなデートもできていないという寂しい夫婦だ。
土日にもちょくちょく仕事や出張が入る。
今のアプリがリリースになったらそこでまとめて休暇をとり、結婚式だの新婚旅行は決行予定にはなっているんだけど、正直まだまだかかりそうだ。
健司の仕事がそれほどでもありませんようにーー。
九時すぎにわたしは健司を起こさずにそっとドアからでた。
いつも寝不足気味だからこの際ちゃんと休んでほしいし、この後を楽しく過ごすためには、しっかり体力を回復しておいてもらいたい。
一緒に行かなければあと三時間は余裕で寝られるはずだ。
ベッドの横のメモに三時間で帰る、と走り書きを残した。
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