別れられない

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「ドッキリだと思ってオッケーしたのはごめん。響に好かれるのは嬉しいよ。でも響は友達だし、付き合えない」 「千晶は好きな子はいるの?」 「いないけど」 「じゃあ、千晶が好きな子できるまででいいから俺と付き合ってよ」 「……何でそこまで俺と付き合いたいの?」 「好きだからだよ。俺は告白オッケーしてもらってすっごく嬉しかった。それが間違いだったって知って今はドン底」 「いや、本当にごめん」 「うん、だから少しだけでも千晶と付き合ってるって思い出が欲しい。千晶が好きな子できたら別れるって言ったけど、その間に俺は俺を好きになってもらえるように頑張るから! 千晶に好きな人ができるまでって期間限定の恋人だけど、千晶の好きな人が俺になって、無期限の恋人になりたいから1番近くでアプローチさせてよ」  必死な表情で言葉を紡ぐ響に胸が痛んだ。勘違いだったとしても、一度告白を受け入れたのは事実。期待を持たせることなんてせずに、最初に断っていれば響にこんな顔させなかったのかもしれない。 「分かった。でも、響のこと友達以上に見れるかは分からないよ」 「それは俺の努力次第でしょ。これから恋人としてよろしくね」  響の顔が近付いてきて、唇同士が触れた。 「ちょっと待って! 響は手が早い!」 「そうかな? 好きな子と付き合えたら触れたいと思うのは当たり前じゃない? 今すぐ抱きたいよ」 「待って! 俺、そこまではできない」 「分かってるよ。千晶が俺を好きになるまで待つよ」  また顔が近付いてきたから両手で掴んで触れる直前で止めた。 「キスもダメだろ」 「口じゃなければいい?」  いや、良くはない。そう思うけど、眉尻を下げて切なげな瞳で見つめられると頷いていた。  口の端。際どい場所に唇で触れられる。  頬に熱が灯った。こんなの普通のキスと変わんないじゃん。ほっぺとかにされると思ったのに。次は絶対に断ろう。
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