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私と彼女は本当にどこまでもお揃いだ。全身の痣が、存在意義を確認するかのような傷の痕が。だから、私は彼女が好き。狂おしい程に。語らなくていい。ただ傍に居させてほしい、愛させてほしい。
鞄からカッターナイフを取り出すと、上書きするように手首に切り刻む。痛みが私はここにいるんだと明かりを灯す。ドクドクと涙のように血液が流れ、指先まで滴る。
「ねぇ、一緒にドレスが着られて幸せだよ私?」
もう古くなった彼女の傷痕に、まだ生まれたばかりの生傷を重ね合わせる。唇と唇が触れるように柔らかに濡れる。冷めた彼女に、私の温もりが混じり合う。
微睡みの瞳に死化粧、純白に包まれた彼女を見て蕩ける。
蠅のたかる羽音が虚しく響き渡り、腐食の香りが鼻をつんざく。
やっぱり私の帰る場所は彼女の腕の中しかない。
「まだ今日は言ってなかったね……ただいま」
いつまでも彼女を抱きしめながら目を閉じる。どうしようもなく幸せだ。
早く楽になりたいってお互いに口癖のように言っていたよね?
病まないオーバードーズが身体を蝕み喚き散らす。
もう鳴ることのない彼女の心臓が刎ねる音。私を抱きしめ返すことはない。
もうすぐ会えるはずだから。その時は『おかえり』と言って私を受け入れて?
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