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1.
「……誰も居ないこの部屋はどっか落ち着いて 何も言わないのが好き……」
[Alexandros]の温度差を歌いながら真っ暗な部屋に寂しく置かれたソファーに沈むように座っていた萩野禄助は階段を登って来る足音に気付いて静かにドアの方を振り向いた。
「…あ…おはよう…。起きてたんだ?」
「…起きてちゃ可笑しいかよ?」
「そうじゃなくて珍しいなって…。だってロクちゃん朝苦手でしょ?」
そう言って苦笑いした同級生の佐藤のの香は禄助の部屋に入るとさっきコンビニで買ってきたおにぎりなどの食べ物が入った袋をテーブルの上にカサッと置いた。
「…今日学校来ないの?」
「冬休みに学校行ってどうすんだよ?」
「…あ、はは…そうだよね」
「…お前学校行くの?」
学校の運動着を着ている佐藤を見て聞いたのだ。「部活の手伝いする事になって」と佐藤は答えると
「ちゃんとご飯食べてね」とだけ残して部屋を出て行った。
禄助は無言で見送るとテーブル上に置かれたコンビニ袋を足の指でひょいっと取った。
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