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2.
白衣を着た化学教師…ならぬ自然化学部部長の音庄李兎が窓の近くで怪しげな緑色の薬品の入った三角フラスコをにこやかに眺めていた。
「うん……?白沢さん?…あぁ、白沢透さんの事かね?」
こまごめピペットを使って今度はピンク色の薬品を三角フラスコの中に入れながら、目の前の席に座ってそれを不思議そうな顔で見ている佐藤に静かに答えた。
「男の子じゃなくて、女の子だよ!」
「相変わらずお前の声は大きいな。女の子がそんなに煩いと男子は嫌がるぞ」
「う''…」佐藤はちょっと恥ずかしくなって顔を赤くした。
李兎の趣味は実験だ。鼻歌を歌いながら何かよく分からない実験を楽しそうに進めている。その傍のベランダにしゃがんで禄助はタバコを吸っていた。
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