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「その子達から亡くなった白沢さんの事聞いたよ。もちろんあんた達がした事も全部ね。あんた達さ、白沢さんの事天才だって勘違いして随分嫉妬してたみたいだけど、白沢さんはあんた達と同じでバスケが大好きなただの女の子よ?」
落合は腕を組んで寺本達を真っ直ぐ見た。
「ただ違うのは、あんた達みたいにずるいとこは一切無く誰よりも真面目でストイックに毎日他人の倍以上練習に打ち込んでいたってだけ。あんた達知らないでしょうけど白沢さんね、皆帰った後も体育館でたった1人で練習してたんだよ?“自分はまだまだだから”って。
あれだけ練習してんだもの、あんた達なんか直ぐ追い越されて当たり前じゃない。
それなのに腹立てて後輩使って白沢さんにあんな事して恥ずかしいって思わないの?
自分は何て馬鹿な事をしたんだ!?って何で気付かないの?そんな子達に私一生懸命バスケ教えてたんだって思ったらもうムカつくどころか情けなくて泣きたくなるわよ!」
ずっと憧れていた先輩が目の前で自分達のしでかした事のせいで大泣きしているのを見て寺本達は自分達がやらかした事の重さにようやく気付いて俯いた。
「ねぇ」と寺本達の方へヤス子が歩いて行った。
寺本達が顔を上げるとヤス子の目を真っ直ぐ見て言った。
「白沢さんに謝ってくれるよね?」
頷いた寺本の目にはいっぱいの涙が溜まっていた。
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