5人が本棚に入れています
本棚に追加
「……山の中で見つかった遺体、数年前に銀行強盗を起こした集団の下っぱの方のだったそうですよ。…ところで禄助君、いつ白沢さんのお話しを沢木さんから聞いたんです?」
禄助の住んでいるマンションのベランダでタバコを吸ってる禄助に昴が尋ねた。
李兎は台所で夕飯を作りながらちらっと2人の方を振り向いた。李兎は実験に似ているからと言う理由で料理も好きだし得意だ。
禄助は新しいタバコにライターで火をつけると何も言わずに口に咥えた。
「タバコ、吸い過ぎですよ。中学生からそんなだと早死にしますよ?」
昴が注意したが禄助は聞いちゃいなかった。
「…寺本さん達、あの後白沢さんの自宅に行って、家族の人達や白沢さんに謝ってくれたんだって。やっちゃんがロクちゃんに落合先輩探してくれたり話し聞いてくれてありがとうって伝えといてって言ってたよ」
李兎の料理の手伝いをしていた佐藤が声をかけても禄助はただ空を見上げている。
「禄助、聞いてるのかね?」
「…あー、聞いてるって」禄助は振り向かずに返事した。
「でも別に礼言われる事なんて何もしてねぇよ。ただ黙ってしょうもねぇ小話聞いてやっただけだし…」
禄助はタバコの煙を宙にふーっと吐くと瞼を閉じた。
終わり
最初のコメントを投稿しよう!