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気づけば腰を上げて、ゆらゆらと腰を揺らしていた。メスがオスを誘うような媚びたその振る舞いに、ギディオンが嗜虐の色を強めて目を細めた。
「ずっとイヤイヤばっかり言ってたシリルが自分から腰を突き上げるなんて、よっぽど気持ちがいいんだねぇ。嬉しいよ、すっごく」
ギディオンは添えていただけの手に力を込めて、ぐっとシリルの腰を掴んだ。そして、一層強く親指で尻尾の根元を撫で回した。
しかし、どんなに強く撫でられても絶頂には遠く及ばない。
「はぁ、あ、あ、ン、ああ……っ」
体の内に狂おしいほどのもどかしさを秘めているのは、切なげな喘ぎ声を聞けば明白だ。
なのに、ギディオンは一向に、シリルの媚態に硬く勃ち上がった屹立をナカへ入れようとはしなかった。
それどころか、
「シリルはこのマッサージがお気に入りみたいだから、今日はこのマッサージを一時間くらいして終わりにしようね」
「え……」
まさかの言葉に、シリルは目を見開いた。
首をひねって後ろを仰ぎ見ると、ギディオンはにこりと微笑んだ。
「どうしたの? そんな驚いた顔して。一時間だけじゃ不満? ……それとも他に欲しいものがあるのかな?」
熱を孕んだ湿った吐息を耳の奥に注ぎ込むようにして、ギディオンが嬉々と低い声で囁く。
熱い吐息と嗜虐的な嘲弄に、淫らな願いを探り当てられ、かぁ、と頬が燃え上がる。
頷いて、心のままに淫らな望みを口にすれば、ギディオンは喜んでその願いを叶えてくれるだろう。
しかし、そうすれば何か大切なものを失ってしまう気がしてならなかった。
この一線を越えてはならないと、微かに残った理性が警鐘を鳴らして、踏み留まる。
その葛藤にじれるようにして、ギディオンはやや乱暴に自分の方へシリルの腰を引き寄せ、自身の怒張を股の間に押し当ててきた。
「ふぁ……っ!」
「遠慮しないでいいんだよ。僕はシリルの望みなら何でもするよ。今ならもうこれ以上えっちなことをしないでっていうお願いだって聞き入れてあげる」
腰を激しく動かし、たらたらと惨めな蜜を垂らすばかりのシリルのものを削ぎ落とすような勢いで、凶猛な屹立を擦りつける。
少し前までそれに穿たれていた下腹部が、皮膚を隔てて感じるその凄まじい雄の気配に疼いて、狂おしい感覚に身の内が焼けそうになる。
「あ、あ、あっ、あぁっ、それ、やぇて……っ、あぁあ……ッ」
「ん? なぁに? えっちな声ばっかりで聞こえないなぁ」
ギディオンは空とぼけながら、物欲しげにひくつく窄まりの手前に、先端を押し当てた。
「ひぁ……っ」
「強制命令は使わないであげるから、心の望むままに言っていいんだよ」
ぬらつく先端で窄まりを緩く撫で回す。
あまりのもどかしさに、悲鳴じみた喘ぎが漏れ出た。
いっそのこと魔術で卑猥なおねだりを強制されたいくらいだ。
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