喫茶なまくび

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 首里の顔に赤みがさした。本棚に妖怪や怪奇現象を扱った怪しい雑誌や小説が並び出したことが気になっていたが、まさかちょっと、この状況を楽しんでいるのだろうか。 「罠にかかった狸を助けたお礼とか、地蔵の頭に手拭いを被せたご利益とかかな」 「狸を助けたんですか?」 「いえ、全く」  生首の飄々とした態度に首里がズッコケた。 「そういえばよ、山ん中に石材店あるだろ?」 「今井石材店だったか?」 「そうそう。そこの地蔵が一体盗まれたんだと」 「はあ? そんなもの盗んでどうすんだよ」 「売るんじゃないか」  窪田と小杉が雑談し始めた時、 「そういえば、釣った魚を狐の親子にあげました! もしかして、稲荷神社のお使いだったのでは?」と、生首が興奮して言った。 「生首さんを不憫に思って、力を貸してくれたってこと? すごーい!」  首里が拍手をした。 「だとしたら、ファンタジーですよね」  生首がおどけるなんてホラーだ。 「むしろ、狐が化けてるんじゃないの?」  窪田が胴体に尻尾がないかと笑う。 「くすぐってみたら元の姿に戻るかも」  首里が胴体に近づいたが、「やっぱり怖い」と手を引っ込めた。それには、生首も笑う。
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