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立ったままで珈琲を美味そうにすすりながら、「僕、島田と言います」と、付け加えた。
「島田さん、考え直した方が良いですよ。流石に警察にふざけ過ぎだと怒られますって。首里、それ今治の!」
止めるのも虚しく、頂き物のタオルを引っ掴んでいた。
「はい、おろしたてのタオルです! 使ってください」
「ありがとう。あ、結構重いですね」
島田はふわふわのタオルで頭部を包み込み、真ん中のテーブルに持って行く。
「すみませんねえ、身長の割に頭がデカいんですよ」
「いえいえ。ん、花瓶が邪魔だなあ」
「好きですよ、僕」
和やかなムードの中、生首が花瓶の隣に置かれた。摘んできたばかりの草花の瑞々しさが、余計に生首の悲惨さを引き立たせていた。
「ああ、よく見えます」
生首がほっとしたように言った。
「良かったです。そういえば、あなただけ自己紹介がまだでしたよね?」
島田が妙に落ち着いた様子で生首に話しかけた。
「失礼しました。僕は山下と言います。それから、皆さんに重大なことをお話ししなければなりません」
「重大なことって?」
顔色の悪い山下を見て、胸がざわついた。
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