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「どうやって逃げて来たのか思い出せないのですが、ここまでそんなに遠くない山荘に連れて行かれたはずです。相手は車を所持しています。もしかしたら、正気になった加藤が僕を追いかけて来るかもしれません」
生首の男、改め山下が非常事態宣言をした。
「はあ?!」
その場の者が口を揃えて叫んだ。
「流石に車があるんだったら遠くへ逃げてるんじゃない?」
「そうだよ、犯行が明るみになると思えばなあ」
窪田と小杉が顔を見合わせた。
「そうでしょうか。殺した死体が消えたんですよ。不安になって探しまくるんじゃないですか」
山下が自分の胴体を見て口元を歪めた。
「いや、しかし……」
「さっきも言いましたよね? アイツは悪魔だと。普通の人間ではあり得ない行動をするんです」
首里がふらついて近くにいた島田のシャツの袖を掴んだ。
「首里、二階で少し休みなさい」
「大丈夫、ちょっとふらついただけ」
首里が椅子に腰掛けたのを見て、山下は口を開いた。
「ですからね、目撃者を皆殺しにするくらいのことやりかねないですよ」
「皆殺し……」
ここにいる全員の生首がテーブルに並ぶのが脳裏に浮かんだ。
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