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「やっぱり警察に通報しよう」
電話の受話器を取り上げた時、ざあっと雨の音がした。
「こういう時、電話線が切れてたりしたら完全にミステリー小説だよね」
首里が不安げに窓の外を見た。
「スマートフォンがあるから電話が使えなくなることは滅多にないと思うよ」
島田が首里に向かって微笑んだ。
「なあ、マスター、先に店を閉じた方が良いんじゃないか」
「そうだよ、雨宿りでお客さん来ちゃったら、パニックだよ」
確かに、喋る生首と首無し胴体があるのを見たら、最悪死人が出るかもしれない。
「そうですね」
電話を元に戻し、スタンド看板を片付けようとドアを開けると、猛スピードでこちらに向かって来る白いワゴン車が見えた。ワイパーの片方が故障しているのか、変な動きをしていた。
「まさか……」
咄嗟にスタンド看板を掴み、店内に引き込むと急いでドアを施錠した。
「お父さん、どうしたの」
心臓がやけにドキドキして苦しい。
「いや、分からん」
ドアにかけられた看板をひっくり返す。
「分からんって……」
「いや、乱暴な運転の車がいただけだよ」
「白のワゴンじゃないですよね」
「えっ」
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