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テーブルの上のタオルで包まれた頭部は、晴れやかな笑みを浮かべていた。
「これって例の地蔵じゃないか?」
「今井石材店のか?!」
ドローンで映し出された山荘の近くにその石材店が見えた。
「……絶望するのは早いのかもな」
島田が地蔵の頭部に向かって手を合わせた。
「お地蔵さんに魂が乗り移ってたんだよ。ほら、これお揃いのペンダントだよ。愛ってすごい」
首里が地蔵の首元で光るペンダントを指差すと、外から恐々と「何かあったんですか?」と声がかかった。
「はいはーい」
首里がドアを開けると、ずぶ濡れの男女が立っていた。
「やっぱり、いるんじゃないですかあ……ん?」
地蔵の頭部と胴体の成れの果てを見た彼らが、盛大な悲鳴を上げた。
二人にも彼の愛が見えたのかもしれない。
了
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