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「そうだよ、オーナー。ここの写真も実際より良い感じに撮れてたよ」
窪田と競馬仲間の小杉が本棚からタウン誌を取り出して、ペラペラとめくる。
「ほら」
「それより、こっちの反響が大きかったのが問題なんです」
タウン誌の紹介ページには、インタビューの合間に娘がした軽口が記事になっていた。
常連客の間では、生方の『生』と、私の名である道夫の道に入っている『首』の文字と、娘の首里の『首』を合わせて喫茶生首と呼ばれている、と。
「覚えやすくて良いじゃない」
「縁起悪いだろう? 皆さんがふざけて言っただけのことを大げさに言うから面白がられて記事にされたんだぞ」
「お父さんが真面目なことしか言わなくてつまらない記事になったせいでしょ」
「真面目のどこが悪いんだ」
「悪いとは言ってないでしょ」
窪田と小杉が私達の小競り合いを笑いながら見ている。
「いっそ、お化け屋敷みたいにしてマネキンの首でも吊るしてみるとか」
窪田がニヤニヤしながら言う。
「洋風もありえるぞ」
小杉も悪ノリして言った。
「皆さんも面白がって……」
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