喫茶なまくび

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「ええと、午後二時頃、男性が殺人鬼に襲われたと逃げて来て、その後に首が胴体から離れたが、喋り続けていて……上手く説明できる気がしません。それに、頭がおかしいと思われそうです。だけど、このままにして良いわけがないし」 「救急車は? 頭と胴体をくっ付けてさ」  首里が動転しているのか、とんでもないことを言った。 「首里ちゃん、それは無理ないかい。脈はあるか、心臓マッサージはしたかって聞かれたらどうするんだ。俺達どれもやってないぞ」  小杉が弱ったなあと、また汗を拭いた。 「ああ、どうしたら良いんだ」  私も頭を抱えた。もちろん、自分のだ。 「あの、警察に電話するのはもう少しあとにしてもらえませんか?」  生首が口を挟んだ。 「どうしてです? 事件が早く明るみになった方が犯人逮捕につながるんじゃ……」  皆も確かにそうだと頷いた。 「僕も自分の身に起きていることが信じられないんです。もし、これが何か特別な力が働いているなら、その力が消えない内に知っていることを話してしまいたいんです」 「……特別な力って、例えばどんな?」
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