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「だけど、らぁ……彼氏も『仕事で疲れてるけど会いたい』って言って、わざわざ来てくれて……」
「でもね、和泉さん。
客観的に言わせてもらうと、和泉さんに寮の規則を破らせて、勉強の邪魔をした上に、こんな山の中に置いていく彼氏が何をしたいのか分からないんだけど。
それに『仕事で疲れてる』とか、じゃあ家で寝てろよって言いたくなる」
愛心を論難され、和泉はまた俯いて今度は膝の傷口を押した。
(確かに、最近らぁと会うのが正直しんどい。
今はまだ学校だけだけど、病院の実習に入ると本当にキツイって先輩たちも言ってるし……。
こんな風に会って山の中に置いて行かれるなんてことをされたら、もう無理かもしれない)
「や……ごめん、彼氏のことを知らない俺が」
また泣き出しそうになっている和泉に、達也は慌てた様子で頭を下げる。
「いえ、その通りなんです。
……彼氏とは高校から付き合ってるんですけど、束縛気味っていうか、いつも彼氏を一番に優先しないとすぐにキレちゃって」
それから和泉は愛心のことを達也に話した。
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