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スマートフォンを勝手にチェックされたり、服や下着まで彼の好みに合わせないと『似合わない』『ブスに見える』と泣くまで責められることもあるが、すごく優しくて楽しく過ごす時間もある。
付き合い始めた高校生の頃は、口喧嘩することもあったが、将来結婚しようと密かに誓い合ったりして、まだ笑っていたことが多かった。
「最近は彼氏がイライラしてることも多くて、会うたびに喧嘩してしまうんです。
もう私たちダメなのかなと思うこともあるんですけど、別れるのが怖くて。
でも今日みたいな事があると、もう、らぁについていけない……」
達也は黙って和泉の話を聞いて、時々頷いたり相づちを打つ。
「……和泉さんはどうして彼氏と別れるのが怖いと思うの?」
「別れたいなんて言ったら、どうなるかわからなくて……すごく怒ってしまうかもしれないし、本当は優しい人なのに、私が悪いから……」
「和泉さん、俺の顔見て」
落ち着いた声の達也に促されて、和泉は顔を上げた。
「年上の俺が正解を言うから、よく覚えておいて。
和泉さんが悪いから、彼氏が怒ってしまうんじゃなくて、彼が怒るのは彼の問題だよ。
それに巻き込まれただけで、和泉さんのせいじゃない」
温かい微笑みを浮かべた達也は、きっぱりと言い放ち和泉と目を合わせて頷いた。
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