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「その彼氏とは別れよう。
会うたびに彼が怒ってしまったり、和泉さんが泣いてしまうのは、もう二人の関係に寿命がきてるんだ。
無理な延命は、誰も幸せになれないよ」
これまで愛心のことを同い年の友人に話すことはあったが、こんなに腑に落ちることを言われたことはなかった。
まじまじと達也の顔を見ていると、フッと吹き出される。
「これ、テストに出るから。
わかったね?」
冗談めいた様子で笑顔になる達也に、和泉もつられて笑ってしまった。
車を停車させたまま、二人は話し続ける。
達也は聞き上手で、男性とあまり喋ったことがない和泉も話しやすく、誰にも言ったことのなかった本音を打ち明けた。
本当は可愛い服を着ておしゃれもしたい。
友人と遊ぶ約束をしても愛心がダメと言えば行くことが出来ず、反論すると物を蹴って脅されるのが怖くて何も言えなくなる。
「和泉さんは可愛い格好も似合うだろうし、誰と遊ぶのも自由だよ。
別れには時間がかかるかもしれないけど、できるよ」
ずっと路肩に停まっていたが、他に車は一台も通らなかった。
(らぁは私の事が心配じゃないんだ……)
和泉は愛心と別れようと決意する。
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