第7球 聖武高校戦

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第7球 聖武高校戦

「えっと……」 「質問は受け付けない。とにかく呼びやがれ!」 「はい、すみません」  僕、なんか怒られている?  月を下の名前で呼ぶのはイヤ? だから、自分の下の名前も呼ばせるってどういうこと? ダメだ、僕には数学の難しい問題よりも解けない自信がある。  男子の試合が終わって、いよいよ女子の練習試合が始まる。  ベンチに荷物を置いた僕たちは、まずは簡単なストレッチから始め、キャッチボールをして、シートバッティングに移った。  その間に中条先生が相手校の監督へ挨拶に行ったけど、先生の様子がどうも怪しい。これは一波乱起こりそうな予感がする。相手校の監督は男子と女子の両方の野球部の監督を兼任しているらしく、男子の試合の後も監督だけは向こう側のベンチに座っている。 「いいか、お前ら、絶対に負けは許さん!」  やっぱり、思った通りだ。中条先生がかなり荒れている。いったい相手校の監督と何を話していたんだろう……。 「君、ちょっと来なさい」 「あっ、はい」  中条先生がチームのみんなに吠えまくっている中、僕は相手校の監督に呼ばれた。 「君はもしかして、八景シニアの志良堂太陽くんじゃないのかね?」 「はい、そうです」  去年、夏の甲子園で男子野球が1勝した時にインタビューを受けていたのをTVで見たので顔だけは覚えている。まさか僕の名前を知っているなんて……。
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