第3球 九家学院の女王

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 残ったのは3人。  ひとりは僕と同じクラスの大門亜土(だいもん あど)さん。こうしている間にも彼女はスナック菓子の袋に手を突っ込み、ムシャムシャと食べてボーっと立っている。2人目は、他のクラスの女子で眼鏡をかけたお下げ髪の子。野球部というよりは図書委員をしていると言われた方がしっくりくるような印象だ。  そして最後のひとりは……。 「火華(ひばな)・ソルニットです。よろしくお願いします桜木センパイ!」 「あいよ、よろしく……えーと、そるにっとちゃん?」 「火華とお呼びください」 「火華ちゃんね、了解」  いつも廊下などで顔を合わせるたびに、僕には攻撃的な態度を見せる。だが、桜木茉地に対してはすごく従順な後輩を演じている。それともこれが本来の姿なのだろうか? 「げぇっ! お、お前はっ!?」 「あ、どうも」  気づかれた。ってか、今まで僕のことが見えてなかったんだ……。 「なぜお前が野球部にいるんだ!?」 「天花寺さんにコーチを頼まれたから」 「嘘をつくな変態! 貴様の邪な考えが手に取るようにわかるぞっ」 「いや、ホントですって」  相変わらず、ひどい言い方だ。  変態って、証拠もないのにあまりにもひどすぎる。昨日、天花寺さんと握手したから、一生、手を洗いたくなかったくらいで変態呼ばわりされるのは困る。
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