第6球 プロ妹

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「キャー! 天花寺さま~~ッ」 「桜木さまもいる、いつ見ても素敵ですわ」  日曜日の練習試合当日。  11時から始まる試合に向けて10時30分頃に聖武高校に到着した。九家学院高校にはマイクロバスがあり、他の部活も練習試合などで予約が重なっていたみたいだけど、九家学院の女王こと中条古都先生が、マイクロバスを確保してくれたらしい。  また、この数日間で野球部に四天王がふたりも入部したという噂がまたたく間に広がり、この練習試合でも聖武高校へ九家学院の女子生徒がたくさん応援に来ていた。 「今、男子の試合が長引いていますので、こちらでお待ちください」 「は、はいっ」  気合の入った女子野球部員にそう言われて、顔を引きつらせながら僕が返事をした。  校舎がグラウンドよりも高い場所にあるので、校舎とグラウンドの間に長い階段と観客席があって、そこで待つよう指示された。  聖武高校男子野球部。  県内では昔から名門として知られているが、ここ10年はあまり目立った成績を残していなかった。だが、数年前から徐々に息を吹き返して昨年の夏には激戦区で知られるK県で甲子園の切符を手に入れた。  練習試合の相手は東横大三浦高校。  県内3強と言われている強豪校の一角で、昨年の決勝では聖武高校に惜しくも敗れた因縁の相手だ。
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