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第1球 不良少女
「上等だ! 勝負でアタイが勝ったら、舎弟になってもらう」
「ええ、こちらが勝ったら、二度と野球部にかかわらないでください」
2年の桜木茉地へバットを突き出す天花寺さん。
あわわわっ。すごい展開になってきた。
勝負は、3対3の野球のルールで行う。ピッチャーとファースト、ショートのみで、キャッチャーは置かない。バッターは壁を背にし、壁にストライクゾーンを描く。ストライクゾーンの際どいコースの場合はロージンの粉の跡で判定するそうだ。内野の頭を超えたらツーベースヒットとなり、試合は3回まで行われる。
しかし、本当にそれで良いのだろうか?
野球部ふたりに天花寺さんが相手だ。野球部のふたりは当然、ある程度の野球を知っているし、練習もそれなりにしてきているだろう。天花寺さんは中学時代に軟式テニスで県大会優勝を果たしている。彼女の運動神経の良さは僕がいちばんよく理解している。
しかし、桜木茉地の不敵な笑みは不気味で気になる。ああ見えて3人とも野球経験者かもしれない。
「それで、この生き物は何だい?」
今まで僕のことを見えていないかも、と思う程、鮮やかにスルーされていたのに桜木茉地が突然、横に立っていた学院唯一の男子を見た。
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