マイコレクション前編(三分で読める小説)

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マイコレクション前編(三分で読める小説)

私はいつもいつも、想っているの。 何故、私は人形になって産まれてきたのかって? 人形は人間の形をしてるのに、 言葉も話す事ができない。 自由に動く事も出来ない。 本当に悲しくてやり切れないの。 人間は自分中心だわ。 新しいうちは、可愛いがってくれるのに、 古くなって飽きてきたら簡単に人形を捨てるの。 私の先輩も昨日捨てられた。 人間は、悪魔の様に簡単に物の命を奪うの。 自分中心の良心を持たない人間悪魔。 そして、いつか私も捨てられるわ。 怖い! 私がどんなに、ご主人様を想っていたとしても、 私はただの人形。 いつか、ゴミの様に捨てられてしまう。 哀しいけどこれが現実なの。 神様、私を自由に動ける様にして下さい。 神様が居なかったら悪魔でも良いわ。 私の願いを叶えて下さい。 「おい、そこにいる人形。お前の願いを叶えてやろうか? ただし、条件がある」 と、何処からか判らないが声がする。 「誰?何処にいるの!」 「お前の真上に居るよ。お前の願いを叶えたいか? 人間に成りたいか?人間と言っても本当の人間では無いが・・・」 と、低く不気味な声であるが、 人形には天使の声の様に聞こえる。 「成りたいわ。自由に動き言葉を話す事が出来るなら、何でもするわ。」 「そうか、それならばお前を自由に動ける様にしてやるが、 俺様の言う事を聞くか?それが、条件だ。」 「条件って何よ?」 「それは、お前が人間の男を誘惑して、 俺の恋人に届けて欲しいんだ。 俺の恋人は人間の男のコレクションをしているんだ。 それが出来るのであれば、 お前の願いを叶えてやるが、 どうだ、やるか?」 「人間の男のコレクションって何よ?」 「そんな事はお前は知らなくても良い。 お前は、男を待っていれば良いんだ。 その男を誘惑して、私の恋人の所に連れて来い。 ただそれだけの事だ。 お前は器量が良い。 俺の恋人と違って美人だ。どうだやるか?」 「やるわ、自由を得られるのなら、何でもやるわ。 どうせいつか飽きられて捨てられてしまうのだもの。 やるわ、男でも女でも誘惑するわ。」 と、私は決意を言ったの。 それで、私は自由を得たの。 小悪魔の様に、次から次へと男を誘惑したの。 私の容姿は男を魅了するだけの物を持っているのよ。 でも気がつくと私は小悪魔から本当の悪魔になっていたわ。 何故って、誘惑された男はその女のコレクションになって、 お人形と同じ運命を辿るの。 私達と同じ運命を! 私は、それを悪い事だと想わないの。 自分中心で良心を無くした悪魔になってしまったの。 そう、以前あれ程恐れ嫌っていた人間と同じ 悪魔に!
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