銀色の……

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銀色の飛行船 ゆっくりと空を飛ぶ 街角の少女は本を抱えて誰かを待っていた 年配のサラリーマンは苛立ちながら 3本目の煙草を燻らしていた 街が変わった訳では無いだろう 僕が夢を忘れて 随分経つけど 新しいマンションが またひとつ 銀色の飛行船 ゆっくりと空を飛ぶ 古い馴染みの喫茶店 珈琲の香りと新聞のインクの匂い 時なんて 目には見えないよ 年老いた犬が 疲れた軀を引き摺って あの子が再婚したらしいよ 月末には 違う街に住むみたい 銀色の飛行船 ゆっくりと雲の狭間を 赤面症だったアイツは 今は逞しい腕で 奥さんと子供達を養ってるよ 今朝も まだ暗いうちに出かけて行ったんだ 希望? 今の暮らしに不満はないよ 明日も今日と同じ様に カレンダーの捲る音響いて 銀色の飛行船 ゆっくりと雲の彼方に 神様も忙しいからね そういう時は 気の良い悪魔に 守ってもらうさ うん また明日 そうだね また明日 天気予報 曇りのち晴れ
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