どんな君でも愛してる

電話の人

　今日、会社来たのギリギリだったんだよね。道理でみんな忙しそうにしているわけだ。

　ええっと、仙台支店の並木さんは……あった、本社営業二部へ異動、営業一課長になるんだ。すごい。昇格するってこと？

「並木さん、すごいですね。課長になられるんですね。おめでとうございます！」

「ああ。めでたいかどうかは微妙だな。まあ、四年ぶりの本社だし、楽しみと不安が半々だな」

「そうなんですね。仙台に行かれる前も社宅だったんですか？」

「ああ、まだ若かったから寮だったんだ。今回はさすがに社宅にしてマンションを探すよ」

「なるほど。社宅だけじゃなくて、他の転勤関係書類もメールでまとめて送ります」

「ああ、頼む。川村さんにじかに会えるのも楽しみだ。声は結構聴かせてもらっていたが、顔を想像するだけだったからな。君は三年目だっけ？」

「あ、春から四年目になります」

「そうか。そっちへ行ったらすぐ会いに行くよ。人事のマドンナらしいな。さぞ美人なんだろう。楽しみだ」