どんな君でも愛してる

電話の人

　前期の売上を達成したと決算後の社内表彰式の模様が、広報に写真入りで掲載されていた。先輩に聞いたら、並木さんは入社時からお仕事が出来て有名だったそうだ。

　並木支店長との関係は、北野さんの振込ミスがきっかけ。先週仙台支店長と営業の人への仮払出張旅費を全く違う人の口座に振り込んだ。北野さんは後輩で、私が入社時に指導員をした。

　何しろ、北野さんは篠田さんの書類がわかりにくかったという無理な理由で責任転嫁をして、謝罪ひとつしなかったのだ。

　支店長である並木さんは怒った。当たり前だ。部長も謝っていた。

　部長に後のことを託された私は、いつも通り平謝りして解決策を探った。あちこち走り回り、並木さんともう一人の九州出張に間に合うよう、結構な額の仮払いをギリギリ期限内に振り込み手続きした。

　並木さんは私の必死に間に合わせた振り込みに感謝してくれた。そして失態の謝罪を受け入れてくれた。

　それから急速に親しくなった。最近はこんな軽口や冗談を叩けるようになってきた。並木さんは気さくで、融通が利く人だった。私はそのおかげで大分助かった。