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窓鷲荘のお坊ちゃま
また怒られるだろうなあ。
「ただいま」
「お帰りなさいませ……坊ちゃま! まあ何ですかまた、そんなガラクタばかり!」
ほら、怒られた。
「何となく気になったもんだからね」
「何となく、で木の枝やら石ころやら、やたらに拾ってこないでくださいまし。ご自分の年をお考えください!」
「うーん、二十五になるね」
「もちろん存じておりますとも!」
あー、いつもの流れだなあ。
「そんなものばかり集めていらっしゃるから、お嫁さんが見つからないんですよ。まったく……」
「はは、確かにね。僕の部屋に置くのは構わないだろう?」
それがいけないと言っているんですっと咎める声を背中に聞きながら、二階へ上がった。
古い石造りの洋館。いつの頃からか、窓鷲荘と呼ばれている。住人は、僕と使用人たちだけ。……と、いうことにしておこうか。
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