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「やってみなきゃ分かんねーだろ」
「ゾンビ因子を甘く見ないでほしいな」
クローンユーリは自らゾンビ化すると、腕を軋ませながら軽く振り上げた。
シンは構えた銃が自分の首を撃ち抜こうとしていることに気付き、ケイは必死な形相で自分の腕を押さえ込んでいるが、その手は繊維が見えるほどで、爪は黒く変色し、顔も頬の一部がなくなり、歯が見えてしまっていた。
「ボクのゾンビ因子は、ゾンビ化しているものを何でも操れる。ボクがゾンビにならないといけないのが難点だけどね」
クローンユーリは口を三日月型にして笑う。
それは勝利を確信した笑いだった。
「人間の底力をナメんなよ…!」
シンの振り絞って出た声に、クローンユーリは振り返り、その姿に目を見開く。
シンが銃を持った腕をナイフで刺し、傷口をじわじわと広げていたからだ。
「キミは…何を…」
「本当のゾンビなら頭を吹っ飛ばすけど、これはゾンビ化した腕だし、俺の脳からの信号が届かないなら、動かないように傷を負わせればいい。そもそも俺の身体なんだから、俺の脳の信号で動くんだよ!俺の身体はほとんどが人間として機能しているから、そこまでゾンビ化しないんだよ!」
「素晴らしい…。ぜひ切り刻んで検体にしたいね。オリジナルもどうして彼をほっといたんだろ?」
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