終わらない作業

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(きっとシンは答えを見つけたいんだ。だから無理をして資料を集めて読み耽っているんだ…) ケイはシンの負担になりたくなかったが、ゾンビ化した身体は普通の人間のようにはいかず、結局シンに頼ってしまう。 そしてケイは自分の身体がゾンビになっていくのが分かっていた。 言語能力、識字が以前より落ちていて、考えを深めると疲れがひどく、そのまま眠ってしまったり、耐えられないような頭痛に襲われることもあった。 (シンにはバレないようにしなくちゃ…。何だかんだ言ってもシンは優しいから、余計なことを抱え込ませちゃいけない) 「明日、ちっと遠めの図書館と資料館をあたってみるわ」 「あの…エヴォス第一研究所にある所長の私室はどうですか?確実に手がかりがありそうな気がするんですけど…」 ケイは研究所に勤めていた時、ユーリの部屋には、片手の指で足りるくらいの回数しか行ったことがない上に、ほとんど長居をしたことがない。 それでもユーリがゾンビ化する薬を作っていたことは事実だ。 ゾンビ化する薬を作ったなら、元の人間に戻す薬も作っているはずである。 薬は反作用する薬も作って初めて完成と言えるのだから。 「あのマッドサイエンティストがそんなセオリー通りなことやるのか?」 「薬を市場に流通させるなら、作っているはずです。個人的に使うだけなら、作らないかもしれませんけど…」
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