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「取りあえず他に有効な手もないし、行ってみるか!」
「入れたらいいんですけど…。辞めてから数年経ってますから」
「そういうのは着いてから考えりゃいいんだよ!よし、今日はもう寝る!おやすみ~!」
「はいはい、おやすみなさい」
寝室に向かうシンを苦笑しながら見送って、ケイは空になった二つのマグカップを軽く洗う。
水も洗剤も貴重なので、無駄遣いはできないのだ。
「何とか入って手がかりを見つけないと…。僕が本当にゾンビになる前に…」
寝室に入って倒れるようにして、ベッドに寝転んだシンは、すぐに寝入ってしまう。
「兄さん!兄さん!」
「ん?何だよ「兄さん」って…」
「誰と間違えてるの?僕は兄さんの弟のセイだけど?」
「セイ!?」
「久しぶり…と言っても、僕は兄さんの一部だから、いつも一緒だけど、今日は伝えたいことがあって、夢の中の兄さんに逢いにきた」
「伝えたいこと?」
「うん。兄さん、ケイは何があっても助けてあげて。兄さんにとってケイが大切なように、ケイも兄さんを大切に想っている。僕は二人のどちらが欠けてもダメだと思っているんだ。だから、ケイを死なせないで。兄さんならケイを助けられるはずだからね」
その言葉が終わると同時に目が覚めてしまったシンは、目を閉じてセイの言葉を反芻する。
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