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ザラザラと砂などがうっすらと積もった床を歩く。
研究所はどの部屋も荒れ放題で、窓ガラスもほとんどが割れてしまっている。
「研究所よりも心霊スポットの方がしっくりきますね…」
「ならず者が住んでるって可能性もあるけどな」
「そういう可能性は考えてませんでした…」
二人はユーリの部屋に向かいながら、あちこちの部屋で、何かないか探したが、なかなかゾンビを人間に戻す方法が書かれた資料はなかった。
ただ、以前にケイが観察していた皮膚病にかかったような犬達のことが書かれたレポートがあった。
あまり読める部分はないが、あの犬達もケイと同じようにゾンビ化していて、ほとんど完全なゾンビになっていたようだ。
見た目まで変えてしまうゾンビ化。
自分もそうなってしまったらと思うと、ケイは不安で自分の身体をギュッと抱き締める。
不意に頭に手が置かれて、ケイは反射的に顔を上げると、シンがニッと力強い笑顔を見せた。
その笑顔に励まされ、ケイは再度手がかりを見つける為に、たくさんあるレポートに目を通した。
「ゾンビ化だけじゃない…。クローンもいるんだ…。所長のユーリ・スレイグのクローンが…」
ケイは言いようのない不安を感じたが、シンの笑顔を思い出し、自分を奮い立たせた。
一歩でも前に進まなければいけないのだ。
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