精霊の御子

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 保護者であるシェリーもユフィの目論見は把握しているし、先日、やっと幼馴染だというジンとかいう男にも自ら釘を刺せた。アウレロイヤ家の者たちはもちろん、王家の者たちにも、ユフィの執着を見せつけてある。事情を知らなくとも、あれでエリオットに粉をかけようだなんて輩は現れようはずもない。  あとは、エリオットが自らの意思でユフィの懐に飛び込んでくるのを待つのみ。  ――幼馴染、か。  やはり、エリオットのような純朴な少年は、身近な相手を恋愛の対象とするのだろうか。自分のように身分に差の生じる者ではなく、同じ庶民を。  それならそうと教えてくれれば、いつでも平民へと身を(やつ)すのに。  ユフィは今一度、彼が育てた青薔薇の花弁を撫でた。  その足元で一輪のクローバーが風に揺れていた。
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