すれ違う思い③

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 けれど、こんな風に尋ねられてしまったらもう駄目だった。  エリオットは唇を引き結んだり、噛んだりを繰り返して――ようやく、心を決める。 「……はい。大好きです」  口にした瞬間、思いが溢れて止まらなくなる。  ――好き、好きなんだ僕は、身分違いでも、身の程知らずでも、ユフィ様のことが……。 「――…………!」  本人が尋ねたから素直に本心を吐露(とろ)したのに、当のユフィは軽く眼を見開いて、唖然(あぜん)としている。  どうしたのだろう、適当にあしらうことを望まれていたのだろうか。エリオットが狼狽えて目をぱちくりさせると、ユフィが慌てたように口を開く。 「エリオット……? どうして、泣いて」  問われた瞬間、頬をつうっと何かが伝い落ちる感触に、エリオットははっとした、  弾かれたようにユフィから身を引き、そっと頬をなぞる。袖にシミができて、そこでやっと無自覚の内に落涙していたことを知った。 「あ……え……これ、は、ちが……」  見上げたユフィは、伸ばした手を宙に浮かせたまま困惑している。  失敗した。エリオットは顔面蒼白になる。  ――ちがう、こんなの、また誤解させてしまうのに……!  どう受け取られるにしても、その結果が最悪なものに変わりはない。彼を困らせるか、傷つけるかのどちらかだ。 「っ……、ごめ、んなさい……!」  エリオットは混乱して、ユフィの静止も聞かずに駆け出していた。  
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