小さなテーブル

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小さなテーブル、向かい合わせの先輩と私と。 大きなアップルパイを前にして、手を組んで食前の祈り。 しばしの沈黙。 切り分けるとアップルパイの香りが広がった。 「つまり」 リスのように頬張っている先輩は幸せそうに見える。 きっと私も同じように見えてるんだろう。 「迷宮入りを狙ってたってこと?」 うん、そうとも言えます。 「あ、わかった」 ちょっといじわるな笑みが顔が広がる。 「だからマルンちゃんの所に相談にきたのね」 何を納得してるんです先輩? 「私の言ったとおりじゃん」 だから……何か? 「毒にも薬にもならないって」 言ってましたね、それ。 「マルンちゃんだと解決できないだろうって思っていたからここまで来た」 そういう事でしょう?と私の目を覗き込む。 私はだまってパイを頬張る。 ですよね。その可能性、高そうです。 でも、ちょっとだけ…… 村を離れて暮らしている私、元気にやっているのか? 一人ぼっちじゃないかなぁと心配してくれてたのかなって。 小さなテーブルをはさんで二人で食べるアップルパイはわたしをちょっとだけ懐かしい気分にしてくれた。 【了】
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