小さなテーブル

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魔女はそのキャリアに応じて呼び方が異なる。 ベテランである「大魔女」と駆け出しである「小魔女(こまじょ)」そしてその間、中堅である魔女が大部分を占める。 大魔女はみんな知っているから、名乗るときも名前だけ。一方、中堅の魔女たちは二つ名を持つ。 そして私のような駆け出しの小魔女はというと、住んでる場所が自分の名前の前につくのだ。 森に住んでいるから、私の場合は「森の魔女」でもいいけれど、小屋を泉のほとりに建てているから「泉の魔女」でも間違いにならない。 村長が来たとき、実はもう一人、先客がいて。 私の隣に座っているミーニャ先輩も魔女。彼女だと「風読み」が二つ名だ。 お天気の急変とか、大気の状態を読むのが得意なんだけど。 どうもお天気以外はあやしいというか……。 きれいな夕日をみつけるとふらふらついていっちゃうとか。ちょっとだけすこしだけ自分勝手で。 「マルンちゃん、いいとこに住んでるのね」 約束どおり、二人でアップルパイを楽しみながらお茶をするのに、リンゴの甘煮を持ってわざわざ私の小屋まで来てくれた。 そういうとこは律儀と言うか。 「ずいぶん狭いのね」 そういうとこは先輩らしいと言うか。 パイ生地を寝かしている間、手持ち無沙汰しているのか、横で聞いてるような聞いてないような。手のひらを伸ばしては甲をひらひらさせて眺めたり。 何度数えても指は五本ですよ先輩。
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