小さなテーブル

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さてさて、急にやってきた村長、その用向きはというと…… 椅子を勧めてお茶を用意し、私は村長に向き直って再確認する。 「村長が第一発見者なんですよね」 なんと! 私の生まれ育った村で事件が起きて、わざわざ村長が相談に来たのだ。 「で、なぜ、私の所へ?」 魔女見習いを卒業したばかりのまだ未成年な私に聞くというのは?  「村出身で、だけど今は村で暮らしていないからね、あと、魔女というのは人の営みに対して中立って言うか、利害関係もないしね」 うーん。魔女って意外と社会的信用あるのでしょうか。 「毒にも薬にもならないってことかしら」 よけいな感想をはさまないでください先輩。 窮屈そうに小さな椅子の上で体をゆすり、えへんと咳払いする村長に話の続きを促す。 「つまり、密室で……後頭部を?」 「ええ、うめき声がするし、様子がおかしいと思って」 カギの掛かった部屋、扉を壊して入ってみたら中には後頭部から血を流したロガス氏が倒れていたという。 セクハラ三昧であまり評判の良くないロガス氏、差出人の書いてない手紙で呼び出されて行った塔の部屋でいきなりぶん殴られたらしい。
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