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7
固く目を閉じ、ユウトは死を覚悟した。
どれくらい経っただろうか、そのまま3人は動かなくなってしまった。
手の中には3つの星の欠片が収まっており、どの石にも無数のヒビが入っていた。
そして勇者たちは崩れ落ち、息絶えてしまったのだった。
「ユウト様!」
ギムリとキルケは傷を負い、血を滴らせながら走り寄った。
「心配いらんよ。
この通りだ」
地面に臥した勇者たちを目で示すと、星の欠片を投げ捨てた。
魔王城へ戻ったユウトは、瓦礫と化した有様に激怒した。
「おのれ、許さぬぞ」
玉座の周囲に集めてあった星の欠片を叩き割り、すべて粉々にしてしまったのだった。
その日から、ユウトが率いる魔王軍は、近隣諸国に攻め入り、略奪と破壊、殺戮の限りを尽くした。
まさにこの世の地獄絵図が描かれ、阿鼻叫喚の有様だった。
手に入れた星の欠片を、ことごとく破壊し野に火を放った。
街には孤児が溢れ、店から商人が焼け出され、食料さえも手に入らなくなる。
仕事を失った民衆が略奪を始め、盗賊が跋扈するようになる。
田畑は踏み荒らされ、国はあっという間に荒廃してしまった。
「王様、少しでいいのです。
食べ物を私たちに分けてはいただけませんか」
小さな子どもが縋りついてきた。
その子を蹴散らし、ユウトは鬼と化した。
「食料を集めろ、大人は奴隷にする。
連れていけ」
人の道を外れた行為だと、ユウトも分かっていた。
子どもたちを路頭に迷わせるのは、大人の欲望の成せる業である。
身勝手な振る舞いが、不幸な子どもを生みだし、国を荒れさせる。
嫌というほど噛みしめてきた屈辱の生活から、抜け出した先には大人と同じことをする自分がいた。
星の欠片は、産まれては消え、手に入れた光を砕き、魂を天に返す。
これが人間だ。
俺は、ただの人間だ。
ユウトの胸には、ポッカリと暗い穴が空いていた。
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