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何となく重たい空気を感じて小さな滝をぼーっと見つめていると、何故か私は急に不安を感じて琴羽さんがいるほうを見ると、そこにいたはずの琴羽さんの姿が見えなかった。
「琴羽ちゃん」
私が呼びかけても返事はなかった。
私は立ち上がって周りを見回したけれど、琴羽さんの姿は見つからなかった。
するとさっきまで座っていた石の近くに薄紫色のハナトラノオの花が咲いていて、そこに綺麗なキアゲハがとまっていた。
私がキアゲハに見とれていると、そのキアゲハは急に舞い上がってひらひらと羽ばたいて山の上の方向に舞って行ってしまった。
そのキアゲハの羽ばたく姿はとても美しくて、私はそのキアゲハが舞う姿が目に焼き付いた。
この日以降、私が琴羽さんに会うことはなかった。
夏休みが終わって小学校の2学期が始まった。
私はクラスの中では積極的に友達と話すことができなくて、1人ぼっちのことが多かった。
そんな私は、思い切って少しずつ友達に話しかけるようになると、仲の良い友達が増えていった。
私が友達と話すことができるようになったのは、夏休み中に出会った琴羽さんのおかげだと思うようになった。
夏休み中に山で出会った琴羽さんが、私に笑顔で優しく話しかけてくれたことが、消極的な私を変えてくれたのだと思った。
私は琴羽さんに感謝していた。
私は中学校、高校、大学と進学して、そこで出会った友達と仲良くできて、楽しい学生生活を送ることができた。
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