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「お母さん」
冴月に話しかけられた私は我に返って、
「冴月、さっきの子は琴羽ちゃんで、お母さんのお友達なんだよ!」
と説明した。
私は冴月とさらに山の奥に入って行くと、うっそうと木々が生い茂っていて、まるで木々のトンネルの中にいるような感覚になった。
そしてさらに山の奥の方に入って行くと、生い茂っていた木々のトンネルを抜けて、白、黄、紫の花が咲いた広い花畑のような空間に出た。
ここには、28年前と同じように綺麗な蝶が舞っていた。
「お母さん、ここ綺麗な蝶がたくさんいるね!」
冴月の言葉に私は、
「そうだね、ここは昔から変わらないわ…」
と話をした。
冴月に手を引っ張られて、花畑の中に入って行って、蝶を追いかけた。
私は冴月との時間は、日常の生活を忘れさせてくれるような、楽しい幸せな時間だと感じた。
ふと青い空を見上げた私は、天国にいるであろう琴羽さんに言葉をかけた。
(琴羽ちゃん、ずっと友達でいてね!)
私は琴羽さんが笑顔で天国から見守ってくれているような感じがして、とても安心した気持ちになった。
冴月と私は、時間を忘れて美しい蝶を追いかけた。
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