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第0章 序章。
西暦1583年06月14日。
越前北ノ庄にある柴田勝家の居城・北ノ庄城では…
茶々「どうして…?母上様がここで最期を迎えられるなら私達もその決定に従いまする…!」
茶々…お市の方と今は亡き浅井長政の間に産まれた長女であり父親に似て背が高く体格がしっかりした美人である。
母であるお市の方が最期を遂げる決意を固めた事に対して涙を流しながら…その身体に縋りついた茶々に対して柴田勝家は声を荒げていました。
柴田勝家「命を粗末にするものではない!母が小谷城と共に運命を共にしなかったのはそなたらの命を守る為だったと理解せねばならぬ…!」
柴田勝家…お市の方が再嫁した相手で織田信秀の若かりし頃から共に戦場を駆けた仲であり…
鬼柴田とかかかれ柴田などと呼ばれてはいるがお市の方や3人の姫といる時はどこにでもいる普通の夫で父親。
柴田勝家がお市の方と共に3人の姫を説得しているまさにその頃、
羽柴秀吉「…官兵衛…!お市の方を生け捕りにする方法はないのか…?」
羽柴秀吉…織田信長の家臣で後に天下を統べる存在にはなるのだが…愛しい人を得る為ならば何でもする困った男…。
黒田官兵衛「仮にも主君の妹ですぞ。生け捕りにしてまで側室にしたいのですか?魔王に怒りの鉄拳制裁を喰らっても仕方ないですぞ…」
黒田官兵衛…羽柴秀吉に仕える両兵衛の内の1人で志半ばで病により帰らぬ人となった竹中半兵衛の思いも受け取り羽柴秀吉の世を創るためまい進している。
魔王とは…
織田信長の事で自身の事を第六天魔王と名乗っていたくらいなので…
羽柴秀吉「しかし…官兵衛は恐いもの知らずであるな…儂なら恐くて魔王だなんて呼べそうもないが…」
別に魔王と呼んでも大丈夫な気もしますが羽柴秀吉は妙なところで恐がりなところがありまして…
ねね「お前様!お市様を側室になさるとは…何たる見分不相応な夢を…!」
羽柴秀吉「げっ!ねね、誰じゃ!ねねを呼んだのは…!話せば分かる!話せば分かるから椎茸だけは喰わさないでくれ!」
ねね…後の北の政所で…羽柴秀吉とは戦国時代に珍しく恋愛結婚で結ばれた夫婦でした。
ねね「椎茸御膳を作ってあげるわね!お前様…!」
羽柴家では夫婦喧嘩の際は、
山盛りの椎茸が料理に使われ…
羽柴秀吉「嫌がらせか?ねね。
儂の家は金がなかったもんで椎茸やら大根やらを喰いながら育ったもんで椎茸と大根は嫌いなんじゃ!」
賤ヶ岳の戦いで勝利したはずの羽柴陣営には何やら不穏な空気が漂って…
ねね「お前様がお市様にちょっかいを出そうとするからよ…!」
加藤清正「おねね様、
落ち着いて…下され…!」
ねねは加藤清正にとって
初恋の人でございました。
加藤清正…城を作らせたら右に出る者はいない築城の名手である。
ねね「清正、あなたが落ち着きなさい動揺しているわよ…」
相変わらず賑わっている羽柴陣営ではありましたが…北ノ庄城も何故か賑わっておりました。
柴田勝家「最後の宴ぞ。皆、思う存分、飲め、歌え!」
この場所で最期を迎える事を決意したお市の方は何やら清々しい顔をしておりました。
初姫「母上…どうしてそんなに清々しい顔をなさっておられるのですか?」
初姫…お市と浅井長政との間に産まれた次女で極めて食いしん坊であり常に腹を空かしている存在。
柴田勝家「初、菓子を食べながらそんな話をするでない…。真剣な話をするなら菓子を食べる手を止めなければ…」
初姫「私から菓子を取ってはなりませぬ…お腹が減っては眠れませぬ…!」
勝家の話も最もではありますが、
何せ初は食事以外でも口を動かしていないと落ち着かないようで…
さくら「煮干しなどを勧めてはおりますが菓子の方が良いと仰せになられまして…」
さくら…初の乳母で赤子の頃から
初の世話をしている第2の母である。
初姫「煮干しなど姫が食べるものではありませぬ…猫が食べるものです…」
俯きながら文句を口にする初に対して言葉を返したのが…
お江「煮干しを食べると頭が良くなるそうでございます。姉上も頭を良くなされては如何でしょうか?」
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