とある男の収集癖

1番欲しいものが手に入らない

どんなに欲しくても君だけ、どうしても手に入れられない。

他のものはたくさんある。

君の爪、髪の毛、使いかけの消しゴム、書きかけの数学ノート、友人とのプリクラ……

君からちょうだいしたものは僕の部屋で大切に保管してある。

君のものを集めるのは、その行為が楽しいからじゃなくて、君のことが大好き過ぎるから。

君には彼氏がいるし、僕なんてカーストの底辺だから視界にすら入らないだろう。

君のものを集めるのが止められない僕を君は知らなくていい。

知らないほうがいいに決まってる。

僕の部屋が君のものであふれるまで、ちょうだいしたい。

君のもので囲まれたら、君に包まれているみたいで、きっと幸せになれる。

どうせ君そのものは一生手に入らない。

だから、今日も僕は君のものを君から奪ってコレクションするしかない。