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『お兄ちゃんでしょ』 『お兄ちゃんなんだから譲ってよぉ』 『お兄ちゃんだろう。それくらいゆずってあげなさい。』 お兄ちゃんってガマンするものなの? 「ねぇルイ。お兄ちゃんっていう立場わかる?」 「……」 僕は何も答えなかった。 僕の本能がそう叫んでいたから 「お兄ちゃんなんだからおやつぐらい譲ってあげてもいいんじゃない?」 『じゃあ、僕はなにも食べるなっていってるわけ?』 っと言い返したかったけど黙りつつづけた。 気づいたら場面が切り替わって、夕食後だった。 まるで、映画を見てるみたい、そう思った。 束の間、 「ルイ、ほのちゃんの宿題か、お風呂洗い、選んで」 僕にほかの選択肢はないの? 「どっちでもいい」 「じゃあ、ほのちゃんの宿題ね」 自分で決められないの、と言われてるみたいで視線が下がる。 そして、実感したんだ。 ああ、こうやってお母さんと妹と弟が僕をおかしくしていくんだ—って感じた。 ほのかの宿題か、お風呂洗い、どちらかを選ぶことなんてできないぐらいに。
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