王様のお后探し

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「王はもうすぐ27歳になられる。そろそろ正式なお后をお迎えせねば、王家の血が途絶えてしまう。そうなってしまったら、我が王国もおしまいだ……!」 中世ヨーロッパの名もなき王国。 まだまだ文明も栄えていないこの国の、それほど大きくはない、それでも強固な造りの城の中で、数人の老人たちが一様に頭を抱えていた。 「先王の崩御からはや13年……なぜそれまでの間にお后を迎えようと思わなかったのだ……!」 「いやはや、その頃は王弟殿下がご存命だったではありませんか。まさかあのような形で命を落とされるとは……。」 王国は、前代未聞の危機に晒されていた。 現王の父、先王の崩御と同時に、王位継承権を持つ者が皆、疫病でこの世を去ったのだ。 そして残されたのは当時14歳の若き王子。 是非もないまま彼は王位を継がされ、13年もの間王として国の頂点に君臨することになった。 もちろん、14の少年に国を取り仕切る裁量などなく、先王の側近たちが必死に国のために働いてきた。 お飾りの王。 彼はそう言われ続けながら、27歳になった。
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